肌だけでなく、髪も、表情も、生き様も。存在自体がキラキラと輝く「ライブリーな人」こそ、今の時代最も魅力的。齋藤薫さんがその秘密を紐解きます。
美容ジャーナリスト
不機嫌に見えない、疲れて見えない、
魂が生き生きした人を作るのがファンデーションの新しい使命
今なおマスク生活が続く中、改めて問いたい。あなたはなぜファンデーションを塗るのだろう。欠点をカバーする以上に、イキイキした、溌剌とした人に見せたいからではないか?不機嫌そうに見えない、疲れて見えない、そして不幸そうに見えないためだったりするのではないだろうか?たとえ家にいる日も、心を整え魂をしゃんとさせるために思わず塗ってしまう、それが今の私たちが求めるベースメイクであり、ファンデーションなのではないか。
肌は人柄、だから嬉々とした印象を作る
「嬉々肌」メイクが始まる
真顔でも笑顔に見える肌ってあるもの、それこそ不機嫌そうに見えない、いつも上機嫌に見える肌ってあるものだ。さらに言えば、嬉々として……そんな表現があるけれど、嬉々としておしゃべりする。嬉々として出かけていく。それは単なる笑顔にとどまらない、大喜びで嬉しそうに“何かを始める”、希望に満ちた動詞を伴う形容詞。何をしていても嬉々として見えるような肌が作れたら理想的。まさに肌は、人柄までを語るもの。だから「嬉々肌」とも言うべき希望に満ちた肌を作るのを、次のテーマと考えたいのだ。
ライブリーな生命感は
目が離せなくなるほどの存在の引力を生む
でも、心の華やぎまで映し出すなんて、ファンデーションで可能なの?きっとそう言うだろう。でも肌作りの進化は今、私たちの想像を超えるほど。例えば素肌感も、単なる素肌感ではない、まさに、イキイキと煌めくようなライブリーな素肌感をファンデーションでリアルに再現することも可能。だから、単に肌がキレイと言われるのではない、その人自身が素敵と言われるベースメイクを始めたいのだ。それがまた自信になって人を輝かせるまさに躍動するようなライブリーな生命感は、目が離せなくなるほどの存在の引力を生むはずだから。
動くツヤ、生きたキメ、冴え渡る色……
だから命がキラキラする
(左耳)イヤカフ ¥12100、(右耳)イヤカフ ¥12600/ロードス(ripsalis) トップス/スタイリスト私物
そんな嬉々とした素肌に化ける決め手は3つ。ツヤ、キメ、色。それも、表情とともに動くみずみずしいツヤで「面」を、ぷりぷりと生きたキメで「点」を、冴え渡る肌の色で「奥行き」までを、三位一体で均一に同化させると、肌は俄然イキイキと、命をキラキラ煌めかせるのだ。その時、自分の中で光が灯るように、自信が生まれる。そしてきっと、自分のことが好きになり、だから誰かに会いたくなる。出かけたくなる。まさに今、ファンデーションは新しい役割を持とうとしているのだ。肌一枚ではなく、人柄まで輝かせ、自分が好きだから、周囲の人も惹きつける……そんなライブリーな人への肌作りが始まるのだ。
文/齋藤 薫 撮影/資人導 ヘア&メイク/千吉良恵子〈cheek one〉 スタイリスト/立石和代 モデル/森 絵梨佳 構成/山下弓子(MAQUIA)