“リフ粉”の相性で親しまれているセッティングパウダーを筆頭に、時代やトレンドに左右されることなく愛され続けるNARSのライトリフレクティング シリーズ。この名品揃いのファミリーに、この夏待望のメイクアップ下地「ライトリフレクティング トーンアップヴェール」が仲間入り。こちらの“生みの親”であり、NYで長年NARSの商品開発に携わる桑村真波さんにインタビューできるチャンスが到来。新下地の誕生秘話からアジア&世界のトレンドまで、アップカミングなビューティ事情についてお話いただきました。
NARSコンプレクション/スキンケア新商品企画開発部 バイスプレジデント
桑村真波さん
2007年にNARS Cosmetics入社。NARSのコンプレクション/スキンケア新商品企画開発部 バイスプレジデントとして、市場のトレンドや売上シェア拡大を視野に入れた処方戦略の開発を統括。コンプレクション部門とスキンケア部門を継続的に2桁の成長へと導いた立役者。
―「ライトリフレクティング トーンアップヴェール」は、ブランドを代表するスターシリーズから誕生する待望のメイクアップ下地ということですが、最もこだわった点はどこですか?
とにかく肌を白浮きさせずにトーンアップできるメイクアップ下地を作る、これに尽きます。全てのNARS製品は創設者でありクリエイティブ・ディレクターでもあるフランソワ・ナーズの哲学に直結していて、中でもライトリフレクティング シリーズは「最高の肌とは光を反射する肌である」という言葉からスタートしました。彼が目指す「光を反射する肌」とは何か、それを突き詰めていくと、“くすみのない透明感のある肌”に辿り着きます。そして今回は下地を使うことによって、その透明感をより追求しなくてはいけないという使命がありました。ところが、既存のトーンアップの概念だとメイクアップ下地を最初に塗ることで、ファンデーションがグレーに偏ったり、白浮きしたりするという傾向があり、それをどう解消していくかが最も大きな課題となりました。
そこで私たちは、色ではなく光で透明感を高める独自のパール剤を開発することから始めました。3年以上の試行錯誤の結果、光を透過し、より複雑に反射することで肌なじみの良さを実現する多偏光パール「ブライトニングパールブレンド」が誕生。このパール剤の効果によって、肌トーン、明度、くすみ、全てにおいてアップするNARSならではの処方が完成しました。
もう一つ、私たちの頭を悩ませたのがテクスチャーです。日本やアジアの皆さんのニーズを見ていると、やはりメイクアップ下地にはSPF・PAといった紫外線カット機能を搭載することがマストなんですね。そうなるとサンケア成分のほとんどは油分でできているので感触も重くなりがちで、みずみずしく伸びるテクスチャーになりにくいんです。使い心地の良さと日焼け止めとしての役割の両立をどう叶えるか、それも非常に難しいポイントでしたが、最終的には誰もが納得いくものに仕上がったと自負しています。
―“アジアでは紫外線カットがマスト”というお話でしたが、世界とアジアではメイクアップ下地へのニーズにも違いがあるんでしょうか。
かなり違うと思います。やはりメイクアップ下地の存在はアジア、特に日本、中国、韓国が牽引しているイメージですね。欧米ではSPF・PAを搭載したメイクアップ下地というのはかなり数が限られていて、役割としては主にモイスチャーライザーとして意味合いが強い。ですが、最近アメリカでは“ジオスキンケア”という言葉に注目が集まっていて、それは何かというと気候変動や大気汚染など過酷さを増していく環境の中で、肌を守るプロテクション機能を強化しないと健やかな肌ではいられない、という考え方なんです。健やかな肌というと少し退屈に聞こえますが、今後は全てのビューティアイテムにおいて肌を守るバリア機能をどう高めていくかが大事なポイントになっていくと思います。そういった観点からも、スキンケアとメイクアップを繋ぐリエゾン的な役割のメイクアップ下地への期待は、世界的にもますます高まっていくのではないでしょうか。
―「ライトリフレクティング トーンアップヴェール」にも、環境ストレスからのプロテクションをサポートする成分が配合されていますね。
そうなんです。カカオペプチドやモリンガシードをブレンドした「ラディアンスリテンションコンプレックス」が肌荒れしにくい状態へとサポートしてくれるので、使うたびに光を反射しやすい肌へと導いてくれます。また、キシリトール、トレハロース、エリスリトールといった3種類の糖の保湿効果も期待できるので、肌が潤うことでより美しい光の反射が叶うんです。「ライトリフレクティング トーンアップヴェール」の開発は2018年頃からスタートしており、“ジオスキンケア”的なムーブメントが広がるずっと前から着手しているのですが、光の反射にこだわった処方を突き詰めていったことが、結果的に時代のニーズと合致したなと感じています。
NARS ライトリフレクティング トーンアップヴェール 30ml ¥6380(7月12日発売)
―フランソワ・ナーズさんは普遍的な美の定義を持っていて、そこに時代が追いついてきた感じですね!
80年代から続く“ゴージャスモデル全盛期”だった90年代初め、フランソワが手がけたヌーディなメイクアップのケイト・モスが美しさの基準に革命を起こしました。そこからもわかるように、彼の中には時代に左右されない美のフィロソフィーが息づいています。アーティストであると同時に、ビジョンを持ったクリエーターなんですね。常に先を見ているので彼と共に仕事をするのは大変ですが(笑)、NARSというブランドが新たな製品を生み出しながらも長い間ブレないのは、彼の揺るぎない存在があってこそだと思います。
変わらない信念がある一方で、時代に合わせてブラッシュアップしていくものあります。例えば今回、「ライトリフレクティング ファンデーション」から新たなアジア限定のシェードが4色追加されるのですが、それは昨今のニーズに沿った明るいシェードになっています。フランソワはよく「色調は生き物だ」という話をしているんです。80年代前半、いわゆるマドンナの時代は肌トーンがピンク系全盛期だったのに対し、2000年になるにつれイエロー系に変わっていき、2000年以降は次第にニュートラルな志向に……と確かに振り返ると、肌トーンの変遷が見て取れます。そのことから、NARSでは3〜4年に1回はファンデーションの色みの整理を行なっているんです。変わるものと変わらないもの、その絶妙なバランス感覚が、NARSらしさを生んでいると思います。
NARS ライトリフレクティング ファンデーション 新4色 各30ml ¥7150
左から/04335、04336、04337、04338
―NARSというブランドがいつの時代も色褪せないのは、そういう理由なんですね!
特にメイクアップ下地やファンデーションといったベースメイクは色を美しく見せるために絶対に必要な要素であり、フランソワにとっても非常に重要なアイテムです。身体にとっての下着と同じで、いくら美しいドレスを着ていても下着がフィットしていないと着心地も気分も冴えなくなってしまう。肌の仕上がりひとつで、その人の印象が変わったり、垢抜けたりすることもあります。だからこそ、時代にフィットする質感や色みは繊細に組み立てていく必要があると思います。
―NARSの哲学が凝縮された「ライトリフレクティング トーンアップヴェール」ですが、“産みの親”である桑村さんが推奨する使い方のTipsなどはありますか?
本当にみずみずしいテクスチャーなので、メイク初心者の方からプロフェッショナルの方まで、誰がどう塗ってもキレイに仕上がるのが特徴です! 光の反射も美しいので、ハイライトを入れなくてもメリハリのある顔立ちが自然と引き立ってきます。スキンケア感覚で全顔になじませてもらえたらOKなのですが、強いていうなら、私は頬の毛穴が気になる部分は下から上に押し上げるように塗っています。
―なるほど、確かにこう塗ると毛穴のブラー効果もより感じられますね! 私たちは「ツヤは欲しいけどテカリたくない……」という欲張りな願望を持っていますが、そういった声にはどんな肌づくりがおすすめですか?
「ライトリフレクティング トーンアップヴェール」で叶うツヤは繊細なので基本的にはテカリとは違う見え方をしますが、油分が気になるという人は、額の生え際を除いたTゾーン、小鼻の横などを“リフ粉”で押さえるのが良いでしょう。あとこれは個人的な実感ですが、「ライトリフレクティング トーンアップヴェール」を使っていると、“崩れるときも美しい”という感覚があるんですよ。それはこれからの暑さを極める季節に非常に重要なポイントだと思います。8月には“リフ粉”のラベンダーカラーも限定で登場するので、ぜひチェックしてみてください。
NARS ライトリフレクティング プリズマティックパウダー 03878 10g ¥5830 (8月14日 伊勢丹新宿店・meeco・全国のイセタン ミラー<NARS>取り扱い19店舗 先行発売、8月23日 全国発売 ※数量限定)
NARS ライトリフレクティング プリズマティックパウダー 03731 11g ¥5830 (8月14日 伊勢丹新宿店・meeco・全国のイセタン ミラー<NARS>取り扱い19店舗 先行発売、8月23日 全国発売 ※数量限定)
―最後に、今回の東京滞在で桑村さんが感じた今の日本のメイクの特徴、変化した点などはありますか?
いつも帰国のたびに、日本の皆さんのメイクは本当におしゃれだなと思います。いつもリサーチを兼ねて山手線を一周くらいするんですが(笑)、駅によってさまざまな雰囲気の人がいて、メイクもどんどん多様化していますよね。例えばアイブロウも、黒だけではなくてニュアンスの違うブラウンやピンクがかったカラーを使って楽しんでいる人が多い。この感覚って素晴らしいなと思います。そして総じて皆さん、肌への意識が高い。だからこそ、今回の「ライトリフレクティング トーンアップヴェール」の素晴らしさも実感していただけると思います。 “くすみを飛ばす” という最も重要なベネフィットを、ご自身の肌で体感してみてください。
●お問い合わせ/NARS JAPAN
0120-356-686
構成・文/前野さちこ 企画/中村千夏(MAQUIA ONLINE)
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