生理前になるといつも体がむくんだり、イライラしたり、体重が増えたり……。そんな心と体の変化を感じている人は、マキア読者の中にも多数。そこで、生理前の不調を抱える2名のマキアインフルエンサーの疑問や悩みに、産婦人科医の深澤祐子先生が回答! 原因から対策までを教えていただきました。

マキアインフルエンサーに聞きました! 私たちも毎月悩んでいます
マキアインフルエンサー70名にアンケート調査を行ったところ、多くの人が生理前の不調に悩んでいることが判明。どんな症状を感じるかという質問では、「疲れやすい」という症状が最も多く、続いて「眠気」「イライラ」「ニキビ・肌荒れ」「気分が落ち込む」「お腹や乳房の張り」など、体の不調からメンタルの不調まで、さまざまな症状が挙がってきました。

生理前になると心も体もどんより…

MAQUIAインフルエンサー/30代・会社員
田中美帆さん
生理前10日間ほど気分が晴れず、やる気が出ません。1ヶ月を通して体調の良い日の方が少ない気がします。生理とうまく付き合っていくにはどうすればいい?
あなたもこのような生理前の不調、ありませんか? 以下のサイトでPMSチェックしてみましょう。
教えて深澤先生! 生理前の不調=PMSって何ですか?
生理前に起きやすい不調は、上記のグラフのように精神的不調が出る人もいれば、身体的不調が出る人もいて、人によってさまざま。最近、一般的に知られるようになってきたので、ご存じの人も多いと思いますが、このような生理前に起こる不調をPMS(月経前症候群)と呼びます。PMSについて、深澤先生にさらに詳しく教えていただきました。

医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。東京女子医科大学卒業後、同大学病院や関連病院などで診療にあたり、子宮内膜症専門外来や腹腔鏡・ロボット支援手術などを経験。北里大学北里研究所病院 産婦人科 医長を経て、2025年2月に開業。すべての年代の女性のライフサポーターを目指し、診療にあたる。
PMSとは?

「PMSとは、月経前の3〜10日に始まり、月経が始まると消失する症状のことです。その症状は、イライラや落ち込み、怒りっぽくなるといった精神的な症状から、むくみや乳房の張りや痛み、頭痛、腰痛、便秘などの身体的な症状まで、さまざまです。
PMSには、女性の体で分泌されている、エストロゲン(卵胞ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンが大きく関わっています。月経開始から排卵までの約2週間を卵胞期と呼び、この時期にはエストロゲンの分泌がピークを迎えます。そして排卵後にはプロゲステロンの分泌がピークになる黄体期になり、その分泌が下がり切ると月経が始まります。
このプロゲステロンが優位になる時期に起こるのがPMSです。原因ははっきりとわかっていませんが、プロゲステロンに対する感受性が人によって異なり、その影響が強く出るのがPMSだと言われています」(深澤先生、以下同)
むくみとイライラは関係しているの?
「むくみとイライラの直接的な関係はわかっていませんが、むくみが強い人ほどイライラなどの否定的な感情が強いというデータがあります。月経前はプロゲステロンの影響で、体に栄養や水分をためこもうと働くため、むくみやすくなりますが、それが精神面にも何らかの影響を及ぼすと考えられます」

PMSには、どんな治療法があるの?
低用量ピル
「低用量ピルは、月経困難症の治療薬として保険適用になっていますが、PMSにも効果を発揮します。低用量ピルを服用すると排卵が抑制され、エストロゲンとプロゲステロンの大きな変動が抑えられます。プロゲステロンが大きく増えることもなくなり、月経も来ないので、PMSも抑えられるのです」
漢方薬
「PMSには、漢方薬を用いる場合もあります。それぞれの症状に対する対症療法で、むくみなら水分代謝をよくする漢方薬、便秘なら便秘の改善によい漢方薬というように症状に合わせて処方します」
抗うつ薬
「気分の落ち込みがひどいなど、PMSの中でも特に精神的症状が強い場合をPMDD(月経前不快気分障害)と呼びます。この場合、月経前の黄体期に抗うつ薬を服用することで改善することがあります。産婦人科だけでなく心療内科での治療が必要な場合もあります」
今から始められるPMS 対策セルフケア

「PMSの自分でできる対策としてまず大切なのは、自分の月経周期のパターンを把握することです。生理予定日の何日くらい前から、どんな症状が出たかをノートに書き出すなどして把握しておけば、次の月に事前に適切なケアをすることで症状の予防につながります。
もちろん、適度な運動習慣をもつようにしたり、ゆっくりお風呂に入るようにしたり、十分な休息や睡眠をとったり、バランスのよい食事を心がけるなどといった生活習慣の改善も、体調を整えるためには欠かせません。また、PMS対策によいと言われている成分をサプリメントで補うのもよい方法です」PMS対策によいと言われている成分は、以下をチェック!
PMS対策に取り入れたい注目の成分

・γ-トコフェロール、γ-トコトリエノール
「γ-トコフェロールと、γ-トコトリエノールは、どちらもビタミンEの一種で、植物油に多く含まれています。この2つには、むくみを軽減する働きがあることがわかっているので、月経前にむくみやすい人におすすめです。むくみが改善することで、イライラなどのネガティブな感情の改善にもつながることが期待できます」
・エクオール
「エクオールは、大豆に含まれるイソフラボンが腸内細菌によって代謝されて生み出される成分で、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることがわかっています。月経周期にともない変動する女性ホルモンの働きを助けてくれます。ただし、大豆を食べて腸内でエクオールを作り出せるのは、若い女性では5人に1人と言われているので、サプリメントを利用して摂るのもおすすめです」
・カルシウム
「カルシウムは骨の健康維持に必要なミネラルとして知られていますが、精神状態にも関わっていて、不足するとイライラしやすくなると言われています。乳製品や小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、小松菜、海藻類などに多く含まれているので、月経前にイライラしやすい人は意識して摂りましょう」
・ビタミンD
「ビタミンDは、卵胞の成熟や排卵、黄体形成などに関わっていると言われ、不足すると排卵がうまくいかず、黄体期が正しく来なくなることがあります。月経のサイクルが整うことでPMSが改善することもあるので、ビタミンDをしっかり摂ることもおすすめ。魚やきのこ類、卵などに多く含まれています。また、紫外線を浴びることで皮膚でも作られるので適度に日光を浴びましょう」
・ビタミンB6
「ビタミンB6は、感情をコントロールする神経伝達物質をつくるのに必要なビタミンです。PMSのイライラや気分の落ち込みといった心の不調をはじめ、PMSの諸症状全般を緩和できるのではないかと、古くから考えられてきました。まぐろやかつおなどの魚や牛、豚、鶏のレバーといった動物性の食品に多く含まれているので、これらをまんべんなく食べるようにしましょう」
深澤先生が、マキアインフルエンサーのお悩みにアドバイス!

\さくらさんのお悩み/
Q.お腹や脚や胸が張って、にきびや肌荒れも。
低用量ピルを飲んでいるけれど改善しません
「生理前は体がむくんでお腹や胸や脚が張り、体がひと回り大きくなる感じがするほど。便秘や頭痛、にきび・肌荒れが起きたり、眠気も強くなります。子宮内膜症があるので低用量ピルを飲み始めたのですが、それでも毎月何かしらPMS症状が出ます。40代に入ったら低用量ピルは出せなくなるので別の薬に替えると担当医に言われていますが心配です」
A.低用量ピルを飲んでいるならPMSではありません。
ほかの病気がないか調べるためにも婦人科で相談を
「低用量ピルを服用していると排卵が起きず生理も来なくなるので、さくらさんが感じている症状はPMSには当てはまりません。一般的には低用量ピルの服用でPMSはなくなるのですが、改善しないなら何らかの病気の可能性も。
また、毎月のようにPMSがあった人は、その症状に対する閾値が低く、自覚症状を感じやすい場合もあります。40代に入ったら、血栓症のリスクが少ないプロゲスチン製剤(プロゲステロンのみが配合された薬剤)に切り替えることになると思いますが、それで不調が改善されることもあります。ほかの病気がないか調べるためにも、かかりつけの婦人科医に相談することをおすすめします」
\田中美帆さんのお悩み/
Q.生理前はイライラして暴飲暴食に走ったり、
夫に当たったり。PMSとうまく付き合うには?
「生理の1週間程前になると、些細なことにも腹が立ってイライラ。気持ちを抑えようとして暴飲暴食をしてしまうこともあり、自己嫌悪に陥ります。夫にも当たってしまうので、毎月『今、生理前だから八つ当たりするからね』とあらかじめ伝えておくほどです。PMSとうまく付き合っていく方法は?」
A.イライラや食欲増進は典型的なPMS。
漢方薬や食事の補助にサプリメントなどを試してみては
「田中さんのような月経前のイライラや食欲増進は、典型的なPMSの症状です。不調が出やすい期間をご自身でよくわかっているので、その期間のイライラには漢方薬を摂るようにするなど、あらかじめ対策をすることで症状を緩和できると思います。普段からバランスの良い食事を心がける事が大切ですが、サプリメントによる補助も1つの選択肢です。月経痛などもあれば低用量ピルを服用することでPMSも緩和するので、婦人科で相談してみるのがおすすめです」
治療やセルフケア、ぜひ試してみて!

お問い合わせ/大塚製薬株式会社
PMSラボ https://www.otsuka.co.jp/pms-lab/
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/美樹 イラスト/カツヤマケイコ 取材・文/和田美穂 構成/中村千夏(MAQUIA ONLINE)
公開日:














































































MAQUIAインフルエンサー/30代・フリーランス
さくらさん
毎月生理前になると、お腹や乳房の張りや頭痛、尋常じゃない眠気など、なにかしらの症状がかわるがわるやってきて、正直辛いです……。