その時々、素の姿でカメラの前に立ち、
正直な気持ちを言葉に。
2010年の連載開始当初から
大きな話題を呼んできた『亀カメラ』。
本誌で現在も大好評連載中のそれが、
遂に一冊の本に。
タイトルを『ユメより、亀。』に変えて、
亀梨和也の32歳の誕生日でもある
2月23日に発売される。
約7年の歴史と思いが詰まったフォトブック。
気になるその内容について、亀梨さんに話を聞いた。


「アイドルだからここは包み隠しましょう」
そんな規制に囚われず“ありのまま”で挑んだ一冊


――まず「7年分の連載が一冊の本になる」と聞いたとき、どのような感想を抱かれましたか?

「ある種、自発的な部分もあったというか。以前から、僕のなかにも“いつか一冊の本にまとめたい”という願望があって。連載チームとは定期的にその話をしていたんです。なので、感想としては、思いがけない角度から飛んできたというよりは“やっと”。ようやく、こういう機会を得ることができたなって」

――自ら「いつか一冊の本に」と願うほど、亀梨さんにとっても『亀カメラ』は特別な連載だった?

「そうですね。これだけ近い距離感と密度で、毎月毎月、自分の姿や心が写し出される……そういう場所って他にはなかなかないので。また、自分の中にも“連載をやるからにはパーソナルな部分に寄り添ったものにしたい”という強い思いがあって。7年前、連載を始めるときもスタッフの方々に伝えたんです。できるだけ、幅広く深い連載にしたい。それこそ、“アイドルだからここは包み隠しましょう”そんな規制があるなら、やる意味がないと思いますって」


ステージの裏側での出来事、弱っている自分……
その瞬間、その瞬間、正直に切り取ってきた


――その言葉通り、『ユメより、亀。』は亀梨さんの“リアル”が詰まった一冊になっていますよね。ステージ上で輝く“亀梨和也”とはまた違う、見たことのない亀梨さんに出会うことができる。

「亀梨和也として、プロフェッショナルとして、一番良い“ベスト”を届ける。それが僕の仕事であり、特にアイドルとしてはそれを求められることが多いんですけど。この連載はそういう発想でやっていないというか。むしろ、そうじゃない自分として、パブリックイメージとはまた違う場所にいる自分として、向き合ってきた。だからこそ、攻め込んだ話もしているし……。ステージの上ではカッコつけているけれど、その裏側ではいろんなことがあって、弱っている自分がいることだって、正直ある。もちろん、そんなものはステージで見せる必要がないわけだけど。でも、この連載ではそんな自分も含め、その瞬間、その瞬間を正直に切り取ってきた」

――この本のなかでも、まるで素の自分と切り離すかのように、表舞台に立つ自分自身を「亀梨くん」とよく表現されていますよね。

「そうだね。だから、この本は『亀梨くん』じゃない自分の濃度が高い一冊になっているんだと思う。より、人間臭い部分が出ているというか。行ったり来たり、大丈夫だと思ったけどやっぱりダメだった、そんな時期があったり。その危うさや揺らぎは自分で読み返しても感じた。また、『ジャニーズ』『KAT-TUN』『亀梨和也』が邪魔だなと感じた時期もあれば、一周回って、そこがあるからこそなんだなと感じるようになったり……。7年間の葛藤、自分の中の落としどころ、そういう話もリアルにしていたりもするので。そこがまた人間っぽいというか。その辺は自分で読み返していても面白いなって」


夢from亀梨。夢ではない現実の亀梨。
そこから生まれた『ユメより、亀。』


――本の制作はそんな7年間の軌跡をたどる作業でもあったと思うのですが。今までに撮影してきた写真を見返したときの感想は?

「ありのままだからこそ……波があるよね。内面はもちろん、外見も。って、今、スタッフから笑い声が上がったけど、なにその“だよね〜”みたいな笑い(笑)」

――ははははは‼︎ その“波”について具体的に教えていただきたいのですが。

「いや、本当に元気のない顔をしているときもあれば、ノッているなっていうときも、この顔は二日酔いだったなって写真もあるし(笑)。ちょっと話がズレちゃうかもだけど……写真を見返していて改めて思ったんだよね。自分は「亀梨くん」ではない単体の亀梨和也には興味がないんだなって。単体の自分には「カッコよくありたい」とか「こうありたい」という思いがあまりなくて。役であり、KAT-TUNであり、キャスターであり、誰かに必要としてもらったことに対するモチベーションで自分は生きているんだなって。「亀梨くん」に全てを注いでいるからこそ、単体の自分に興味を持つ余裕がないのかもしれないけど。日々の生活の中で普通に「亀梨くんすげーな」と思うこともあるからね。例えば、家でソファにバタンと倒れ込んだときも「ここが現場で今の自分が亀梨くんなら、呼ばれた瞬間、すぐに立ち上がるのに」とか。亀梨くんのためならストイックに身体も絞れるけど、そうじゃない自分のためにはそれができない。それゆえの……波(笑)」

――ありのままの姿がこの本に写し出されているのが伝わってくるエピソードですね(笑)。ちなみに『ユメより、亀。』というタイトルは亀梨さん自身が考えたものなんですか?

「そうですね。長い時間をかけて挑んだ仕事のひとつに舞台『DREAM BOYS』があったり、KAT-TUNとして充電前に発表した曲が『君のユメ ぼくのユメ』だったり……自分の中に“夢”というキーワードが結構あって。また、自分はある種、“夢”があるからこその存在というか。多くの人が夢を抱いて僕を見てくれている。そういった意味でも“夢からの亀です”という“from”的な意味があったり。あとは単純に、この本は夢よりもリアルな亀梨和也がパッケージされているので。幾つか候補が挙がったなか、このタイトルが一番フィットするんじゃないかなって」


取材・文/石井美輪

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