さまざまな悩みやコンプレックスを抱える女性たちに寄り添い、心とカラダを解放していく娼夫の成長を描いた映画『娼年』。松坂桃李さんは、冒頭から一糸まとわぬ姿を堂々と披露するなど、カラダを張って主人公のリョウを演じた。

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「7〜8年分の濡れ場をやった気がするので、もうしばらくはいいかな」と苦笑いするほど映画はセクシーな場面が大半を占めているけれど、画面に映し出されるベッドシーンは不思議と不快感やいやらしさを感じない。それはきっと、演じた“松坂桃李”という人間の優しさや懐の深さ、そして品がにじみ出ているから。そして、裸がうっとりするほど美しいから。魅力的な娼夫を演じるために取り組んだ3週間におよぶボディ磨きの秘訣はもちろん、ドキッとしてしまう女性のパーツやしぐさなど、ひとりの男性としての本音にも迫りました。

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食事制限、脱毛、保湿……。撮影中はボディ磨きを徹底

Q ベッドシーンが多いセンセーショナルな作品でしたが、裸をカメラの前にさらす恐怖や戸惑いは?

役によるんですよね、僕の場合。『娼年』はちゃんとそこに理由があったので、どんな表現であろうとまったく問題なかったです。

Q では、カラダを美しく魅せるための役作りは?

演じたリョウは元々普通の大学生なので、最初はカラダをしぼっていなくても毛がいっぱい生えていても何でもよくて(笑)。娼夫を始めてからちょっとずつ変えていければいいかなと思いました。撮影中の3週間の食事は基本的にバナナだけ。最終的に5キロくらい落ちたと思います。あと、やっぱり内容的に運動量が多いので(笑)。撮影が進んでいくうちに自然とカラダが締まりました。

Q 脱毛もされたんですか?

リョウのお客さんは年上の女性が多いので、オスっぽさをあまり与えないツルッとした“かわいい男の子”を意識したほうがいいなと思って。娼夫になったタイミングで、一度全部剃りました。

Q 何度も映し出されるお尻も美しかったです!

A あら、ホントですか。特に何もしてないので、多分元からだと思います(笑)。でも照明の当たり方による汗感だったりカラダの艶は大事なので、ボディクリームはしっかり塗りましたね。当時はかなり潤ってました。今とは全然違います。

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開くのではなくあえて閉じる。男をドキッとさせるのは簡単

Q 美しい女性たちが多数登場しますが、松坂さんが女性を見るとき、どんなところに目が行きますか?

A 首とかデコルテとか足首とか、やっぱり服から出ている露出した部分に自然と目が行きますね。デコルテだったら鎖骨がちゃんとわかるような感じが好きだし、足首もキュッと締まってると鍛えているのがなんとなくわかるというか。ケアが行き届いている感じはステキだし、何かをがんばっている人は美しいと思います。もちろんだらしない部分があってもいいんですよ。でも仕事でも筋トレでも、何かひとつだけでもストイックな面が見えると魅力的に感じると思います。

Q 劇中では客の女性ヒロミが、リョウに会う時にセクシーな服を着ていたり、耳元でささやいたり、わかりやすいアプローチをしていました。そのくらいしないと、男性は女性からのサインに気づかないもの?

男って鈍いですからねえ。でもヒロミさんほどのアプローチをしなくても気づくと思いますよ。女性から『ご飯行きたい』とメールが送られてきただけでうれしいですから。それで気づかなかったら、その人はやめた方がいいです(笑)。

Q では友達だと思っていた人を“女”として意識してしまうのはどんなとき?

A 友達になると段々、男女の垣根がなくなってくるじゃないですか。あけすけな会話でも恥ずかしくなくなってくるっていうことが割と問題のような気がするんですよね。だから逆に恥じらう姿を見たり、開いた扉をちょっと閉じるみたいなことをされると、意外と男はドキッとするかもしれないです。僕もそういう経験、全然ありますし。男はめっちゃ単純ですよ(笑)。

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コンプレックスを共有すれば、関係性は一気に豊かになる

Q リョウの前で、普段は秘めている悩みやコンプレックスを解放する女性たちが印象的でした。

A やっぱり普段はそういう、弱かったり柔らかかったりする部分によろいをかぶせて生きている人が多いわけじゃないですか。それがこの映画を見ることで少しでも取れて、考えや視野が広がればいいなという思いはすごくあるんですよね。そうすると人に対する接し方がもっと楽になる気もするし、重たい悩みを軽くしてくれる力が、この作品にはあると思うんです。そこまで感じ取っていただけたらもう、最高ですね。

Q 悩みやコンプレックスを、娼夫ではなく夫や恋人などのパートナーと共有するための秘訣は?

なりふり構わず自分のすべてをさらけ出すのは難しいですよね。夫婦やカップルだって、お互いに隠し持っている部分はきっとあるじゃないですか。でもコンプレックスとか、わかりやすい例だと性癖とか、そういう柔らかい部分だけでも共有しさえすれば、関係性が一気に豊かになると思うんですよね。きっと好きだからこそ嫌われたくないと思う恐さが、心を閉じてしまう原因だと思うんですけど。そんなときは、この映画を見てください! 恥じらいとかいろんな感覚が麻痺すると思いますから。

Q 松坂さん自身は、人に心を開けるタイプ?

A いやあ、それがあまり……。なるべく大事な人には開きたいと思っているんですけどね。僕こそ、改めてこの作品を見るべきかもしれません(笑)。


取材・文/松山梢

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4月6日(金) TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー
出演:松坂桃李 真飛聖 冨手麻妙 ほか/脚本・監督:三浦大輔/配給:ファントム・フィルム/ (C)石田衣良/集英社  2017映画『娼年』製作委員会


『娼年』
文庫判 224ページ
本体価400円+税/集英社

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