美への探究心が旺盛で、深い知識に裏付けされた記事にファンも多い美容ジャーナリスト・小田ユイコさん。その小田さんが、今注目している美容の最新知見&テクノロジーを独自に取材し、わかりやすく解説。新発見やテクノロジーが次々生まれる美容界。それらが肌にもたらす嬉しい働きを知れば、ますます日々のお手入れが楽しくなるはず!

解説してくれたのは…
小田ユイコさん

美容ジャーナリスト

小田ユイコさん

美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、フリーに。30年以上にわたりスキンケアの知見や成分について取材。マキアほか、各メディアでコスメ選びの指南を行う。YouTube小田会ビューティCHANNELも更新中。

<キーワード1> ペプチド

美容ジャーナリスト・小田ユイコが解説。今知っておくべき美容キーワード5【ペプチド、NMN、セネッセンス、バクチオール、リピドーム】

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効かせたい肌悩み、肌質に 
ずばり届く、夢の「デザイン成分」 


ペプチドは、約20種あるアミノ酸を組み合せてつくられた成分の総称。2個の組み合わせなら「ジペプチド」、3個なら「トリペプチド」、6個なら「ヘキサペプチド」、10個なら「デカペプチド」、11個以上で「オリゴペプチド」に。コスメの成分に興味がある人なら、どこかで目にしたことがあるかもしれませんね。

ペプチドが優れている点を美容成分スペシャリストの竹岡篤史さんに取材したところ、「効かせたい肌悩み、肌質にずばり届くようデザインできるところです」とのこと。ペプチドは以前からある成分ですが、今ブームが再燃しているのは、このデザインの精度が増したからなんだそう。「肌には、美肌を育み、エイジングを阻止するためのさまざまなカギ穴があることが、次々に明らかになっています。ペプチドなら、それぞれのカギ穴にぴったりのカギをつくることができます」と竹岡さん。

そのカギ穴に合う成分は、既存の成分や植物の成分からも探すことはできます。でもそこにはスクリーニングをして、肌への安全性を確かめて、と大変な手間がかかることも事実。また、植物成分の場合、その植物を育てるところから始めなければなりません。「ペプチドは、アミノ酸という素材の組み合わせで肌に負担をかけないものを作り出すことができるので、目的に対し効率的ですし、エコロジカルでもある。さらには、既存の成分や植物成分の場合、効かせたい目的以外にも作用し、その目的以外の作用がある人の肌にとっては負担ということも。ペプチドなら効かせたい肌悩み、肌質に的を絞りこんでいるので、ほかの作用で肌に思わぬ負担をかけることがありません」

肌悩み解決のカギ穴がわかるごとに、これからも新しいペプチドが開発され、コスメに搭載。私たちが乾燥、シミ、シワ、たるみ、毛穴に悩むことがない未来も、夢ではないのです。

ペプチドの働きを実感できるコスメはこちら

ランコム レネルジー HPNクリーム

ランコム レネルジー HPN クリーム
植物からペプチドを抽出し、300種配合。肌のハリと厚みを高めるペプチド、コラーゲンの喪失や色素沈着を防ぐペプチド、再生のシグナルを出すペプチドという3タイプのペプチドを網羅。50ml ¥19800

リッツ リバイバル ステムプラス 

リッツ リバイバル ステムプラス 
竹岡さんがデザインした潤いペプチド、アクアタイド(ヘキサカルボキシメチルジペプチド-12)を配合。リンゴ幹細胞由来の成分との相乗的なアプローチで、ぷるんとみずみずしく柔らかい肌に。50ml ¥2970

<キーワード2> NMN 

美容ジャーナリスト・小田ユイコが解説。今知っておくべき美容キーワード5【ペプチド、NMN、セネッセンス、バクチオール、リピドーム】

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アンチエイジングの先を行く? 
リバースエイジングのカギ 


ずばりココがダメってほどでもないけれど、肌やカラダがな~んとなく不調ってこと、よくありますよね。実はこれがクセもので、積み重なるとエイジングや本格不調へ。そんな「な〜んとなく不調」をケアしてくれるのが、ここ数年で一躍メジャー成分に躍り出たNMN。

舌を噛みそうなエヌエムエヌとは、ニコチン酸アミド・モノ・ヌクレオチドの頭文字。もともと私たちの肌やカラダの細胞に存在する物質で、NAD+(エヌエーディプラス)という補酵素に変換します。このNAD+、細胞がエネルギーをつくるときに欠かせず、さらにはサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)のスイッチをONにするという、とても重要な役割を持っています。ちなみにこのNMN、30代以降急激に減ってしまうのだそう。

サーチュイン遺伝子は、美肌はもちろん太りにくさ、睡眠の質、脳の働き、視力、骨密度、免疫力をつかさどる、エイジングケアの司令塔。いつも指令を出し続けてくれれば私たちはいつもキレイでいられるのに、ふだんサーチュイン遺伝子はOFF状態。空腹になったり、運動したり、寒さの中に身を置いたりしないとONになりません。

でも、忙しくてストレスフルな現代人にとって、空腹はきついし、運動をマメにするのもなかなか難しい。そこで、かわりにサーチュイン遺伝子をONにするNAD+の前駆体、NMNがもてはやされ、世界中で盛んに研究がおこなわれているのです。

一般的なサプリメントに比べ、少々割高なのがイタイところではありますが、なーんとなく不調を丸ごとケアし、リバースエイジングへの期待が持てるのは、やっぱりありがたい。小田は、疲れがたまったときや、ここは頑張らなければいけない、というときに集中的に飲むようにしています。

MNMの働きを実感できるコスメはこちら

フラコラ NMN+サイタイ

フラコラ NMN+サイタイ
過労ケアと美容習慣に着目し、NMNにプラスして女性ホルモンをサポートするサイタイエキスを配合。1日の摂取目安量2粒でNMNを125mg摂取。60粒 ¥11089/協和

プレミアアンチエイジング SINTO リポソームNMN

SINTO リポソーム NMN
不純物をゼロレベルまで取り除いたNMNをリポソームカプセルに入れ、体内でしっかり吸収されるように設計。ノンフレーバーの顆粒タイプで、お茶などの飲み物に溶かして摂取でき、便利。1包でNMNを350mg摂取できる。3.85g×30包 ¥39800/プレミアアンチエイジング

<キーワード3> セネッセンス

美容ジャーナリスト・小田ユイコが解説。今知っておくべき美容キーワード5【ペプチド、NMN、セネッセンス、バクチオール、リピドーム】

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ゾンビ化してまわりにまで悪影響を
まき散らす「老化細胞」に要注意 

最近、美容業界でもっともアツく語られているので、ぜひ知っておいて欲しいキーワード! セネッセンスとは「細胞老化」を意味する言葉。もともと医療の分野で注目されてきた研究分野で、近年美容にも本格的に応用されています。

細胞は通常、分裂して増え、通常50回ほど分裂を繰り返すと自然消滅する運命です。ところが精神的ストレスや紫外線、大気汚染などで肌やカラダにストレスがかかると、分裂を終えた細胞がゾンビのように居座ってしまうんです。

そのゾンビ細胞はSASP(サスプ)という老害ビームを発信し、健康な細胞まで老化した細胞に。これがカラダなら病気の兆候に、肌ならエイジングにとつながってしまいます。そこでセネッセンス研究に着目するブランドは、分裂を終えた細胞は速やかに自然消滅(アポトーシス)するよう働きかけたり、万が一細胞がゾンビ化しても、まわりに影響を及ぼすのを阻止したりといった仕組みを開発しています。

肌がゾンビ化した細胞で埋め尽くされないように。これからもセネッセンスをケアするコスメに注目していきたいです!

セネッセンスのケアを実感できるコスメはこちら

シャネル LL プロ マスク

©CHANEL 

シャネル LL プロ マスク
薄くのばしてオーバーナイトマスクにしたり、スキンケアの最後に取り入れて集中ケアに。コスタリカの小さなハチ、メリポナが集めるハチミツから抽出したメリポナエンザイムがセネッセンスを除去。50g ¥25850

<キーワード4> バクチオール

美容ジャーナリスト・小田ユイコが解説。今知っておくべき美容キーワード5【ペプチド、NMN、セネッセンス、バクチオール、リピドーム】

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レチノールコスメが肌に負担と感じる 
人に朗報! 「次世代レチノール」 

バクチオールとは、天然植物由来でありながら、レチノールにそっくりの機能を持つ成分。レチノールはビタミンAの一種で、ピーリング作用で角層のターンオーバーを整え、ハリと弾力をもたらすエイジングケア成分。ドクターズコスメなどでもレチノール配合の製品が話題です。

非常に優れた効果を持つレチノールですが、コスメによっては肌に赤みが出たり、皮むけ、乾燥を起こすことも。光や熱で変質しやすいという性質もあり、肌がゆらいでいるときや敏感肌の人、日中の使用には注意が必要です。

そこで注目を集めているのがバクチオール。オランダイビユ(バブチ)というマメ科の植物から抽出される天然成分で、インドやスリランカに伝わる伝統医学、アーユルヴェーダで古くから使用されてきました。レチノールと同じような美容効果が得られるため「次世代レチノール」と呼ばれ、今、脚光を浴びています

バクチオールが優れているのは、肌に赤み、皮むけ、乾燥が起こりにくく、ゆらぎ肌、敏感肌でも使いやすいこと! 肌にハリと弾力をもたらしながら、うるおいも与え、乾燥や外部刺激から守ってくれます。

バクチオールコスメは、即効性のあるレチノールコスメと違い、実感はゆるやか。肌に穏やかで快適に使い続けられるバクチオール配合のコスメを、まずは1本使い切ってみることをおすすめします。

バクチオールの働きを実感できるコスメはこちら

EXTREME エレクトロン エブリワン チャージクリーム

EXTREME エレクトロン エブリワン チャージクリーム

バクチオール配合のほか、免疫バランスをととのえるLPSパントエアなどを配合。電子水の働きと、付属の専用チャージャーにのせて保管することで、配合された成分がより高いパフォーマンスを発揮。50g ¥15180/GMコーポレーション

KINS セーラム リペア

KINS セーラム リペア

バクチオール配合のほか、美肌菌をケアする乳酸桿菌/豆乳発酵液をたっぷり配合。そのほか、抗炎症が期待されるグリチルレチン酸ステアリルやシャクヤク根エキスを配合。肌あれやたるみでマスクを完全オフする勇気が持てない人に。30ml ¥9240

<キーワード5> リピドーム

美容ジャーナリスト・小田ユイコが解説。今知っておくべき美容キーワード5【ペプチド、NMN、セネッセンス、バクチオール、リピドーム】

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バリア機能の要はセラミドだけじゃない!  
細胞間脂質をまるっと箱推し 

常に調子のいい美肌の人に共通するのは、バリア機能の高さ。バリア機能とは、乾燥や紫外線、大気汚染物質などの外的刺激から肌を守る力で、そのカギを握るのが細胞間脂質。今、この細胞間脂質の組成を詳しくプロファイリングするリピドーム研究が躍進中なんです。

細胞間脂質というと、角層細胞のあいだを埋めるパテとかセメントとか呼ばれ、ちょっと地味な存在。細胞間脂質のうち、セラミドは有名だから聞いたことがある人は多いと思いますが、実はコレステロールや脂肪酸、中性脂肪も重要であることがわかってきています。

脂質は皮脂腺から分泌される皮脂と違い、表皮細胞が生み出しています。表皮細胞が表皮の一番下、基底膜で生まれ、成熟しながら肌表面に押し上げられ、角層細胞に変化するとき細胞内に蓄えていた脂質を放出。細胞間脂質となるのです。

年齢を重ねたり、紫外線を浴びるなど肌に負担がかかると表皮細胞の成熟と角層細胞への代謝が上手くいかなくなり、細胞から放出される脂質が少なくなってしまうのだそう。また、量とともに重要なのが、セラミド、脂肪酸、コレステロールの割合で、セラミドだけが多ければよいというわけではないことが、近年の研究でわかってきています。

リピドームに注目し、セラミドだけでなく、コレステロールや脂肪酸、中性脂肪も応援することは、バリア機能を高め、どんなときも強く美しい肌へ。リピドームケアは、エイジングケアの新しい道しるべとなることは間違いありません。

リピドームの働きを実感できるコスメはこちら

ドゥ・ラ・メール ザ・モイスチャライジング ソフト クリーム

ドゥ・ラ・メール ザ・モイスチャライジング ソフト クリーム

リピドームを解析するリピドミクスを独自に推進するドゥ・ラ・メール。巨大な海藻から抽出したドゥ・ラ・メール独自の成分、ミラクル ブロスが実は細胞間脂質をサポートしていたことを発見。外的刺激に負けないツヤハリ肌に。30ml ¥25850

ノブⅢ ミルキィローション

ノブ Ⅲ ミルキィローション

敏感肌用の乳液。細胞間脂質のバランスに着目し、セラミド3のほか、コレステロール誘導体であるヒドロキシステアリン酸コレステリルを配合。細胞間脂質と同じラメラ構造をつくり、バリア機能をアップ。(医薬部外品)80ml ¥4400/常盤薬品工業

イラスト/沼田光太郎  構成・取材・文/小田ユイコ 企画/有住美慧(MAQUIA)

※本記事掲載商品の価格は、税込みで表示しております。

最終更新日:

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