【川口春奈さん】メイクもおしゃれも、自分のテンションが上がればOK！ 自然体こそが叶える新たな美の形とは？

昔から背伸びをしない自分でいたいっていう気持ちが強かったので、コンプレックスも隠したことがない。それでも私を好きでいてくれる人、ついてきてくれる人だけでいいと思っています。私、開き直りの天才でもあって、プレッシャーがないわけではないけど、そればかり考えていても仕方がないから、仕事もプライベートも誰かに左右されることなく、やりたいことだけを楽しくやるのがいちばん。自己肯定しかしていないっていう感じです。だって、生まれてきた環境やこれまでの人生は変えたくても変えられないじゃないですか。だったら自分で自分の機嫌をとりながら認めてあげなきゃ。常にありのままでしかいられない私からしたら、そんなに頑張らなくてもいいんじゃないかな？って思っちゃう。メイクもおしゃれも、自分のテンションが上がればOK。周りは気にせずに自己満足して前に進もうよ！って思っています。

深紅をまとった川口さんの魅力をさらに引き出す河北メイク。「これだけインパクトある赤のときは、逆に他の色を差したりせずワントーンで。同系でもちょっとずつ赤みの種類を変えると、くどくならないので大丈夫。目元はピンクがかった赤、唇は赤茶、服の色は鮮やか赤……というグラデになっているから、その移ろいがじんわりとした色っぽさに繋がってくる」。どの色をオンすれば、全身で見たときに自分が一番輝くのかをじっくり見極めて。それを繰り返せば、自分が合う色を見つけるチカラが身につくはず。

アイライナー
（右）アイシャドウの後、上の目のキワ全体、目尻を少し伸ばす感じで入れる。&be リキッドアイライナー レッドブラウン ￥1760、（左）下まぶたのアイシャドウ後、下のキワ全体に。同 アンダーアイライナー ピンクパール ￥1320／Clue

アイシャドウ
クリームシャドウをベースにし、パレットのA＋Bをアイホール広めにオン。C＋Dを、Dをやや多めに混ぜシャドウラインとして上まぶた全体に引く。下まぶたにもベースのクリームシャドウと、A＋Bを同様に入れる。（上）&be パレットアイシャドウ ロゼブラウン ￥3300、（下）同 クリームアイシャドウ ピンクゴールド ￥1980／Clue

アイブロウ
左のワックスで眉の形を整えた後、真ん中と右の2色を混ぜて眉全体にふんわりとのせる。&be ディープセットパレット ￥2200／Clue

リップ
左のクレヨンで縁取りをした後、右のリキッドリップを唇の内側から外側へ広げてなじませる。（右）&be リキッドルージュ レッドブラウン ￥1980、（左）同 クレヨンリップ ナッツブラウン ￥1980／Clue

がんばりすぎないのにちゃんとして見える、鮮やかメイク。「大切なのは骨格をキレイに見せること、そしてやりすぎないこと」と河北さん。「肌と唇が主役なので、目もとはあえてミニマムに。抜け感を出すのが苦手な人も多いけど、思い切ってブラウンライナーと単色シャドウだけで仕上げても十分です」。主役となるリップも、赤の奥にブラウンが潜む絶妙な色だから飛び出しすぎることなく、馴染みつつも目を引く。ツヤ＆立体感ある肌づくりこそ、ポイントメイクがミニマムでもきちんと感が出る理由！

アイライナー
目の上全体に細めに、すっと目尻をのばすようにして引く。&be リキッドアイライナー レッドブラウン￥1760／Clue

アイブロウ
AとCのワックスで下書きをした後、Bを上にかぶせていく。本人の眉を活かすようにしつつ、直線気味で意志ある雰囲気に。&be パレットアイブロウ オレンジブラウン ¥2200／Clue

アイシャドウ
★の色を、アイホール全体と、目の下全体に細めに入れる。絶妙な色加減で、陰影が美しく見えるように。&be パレットアイシャドウ サンドブラウン ¥3520／Clue

ファンデーション
顔の中心から外側に向かって、スポンジを使って叩き込むようにつけていくと自然なツヤが生まれる。&be クッションファンデーション SPF24・PA+++ 全2色 各¥3520／Clue

リップ
唇の輪郭に合わせて縁取り、中を埋めるようにしてサッと塗る。&be リキッドルージュ ガーネットブラウン ￥1980／Clue

ハイライト
クッションFDをつけた後、黒目の下から外側に向けて逆三角形になるように、広めにつける。&be ルミナイジングパウダー ヌードグロウ ¥2420／Clue（4/1発売）

ピンクを避けてきた私でも違和感なく取り入れられるカッコいいピンクが新鮮。
「普段はメイクにあまり色を使わないんです。使うとしても、肌に合うテラコッタやオレンジ系が定番。甘々になるのも派手になりすぎるのも苦手なので、ピンクはあえて選んでこなかったんですよね。だから今回のメイクのカッコいいピンクって新鮮！ アイシャドウもパールが利いているから甘くないし、あえてブラウンのリップで締めるのも洒落てますよね。このバランスなら普段ピンクを使わない私でも、違和感なくて取り入れやすいなって思いました。春は花粉症で目まわりに赤みが出てしまうので、それをカバーするのにもちょうどいいかも（笑）」（川口春奈さん）

A メタリック、サテン、パールなどの異なる質感＆彩度のピンクがセット。トリオ ブリック パレット 833 ¥8470／パルファン・クリスチャン・ディオール（限定品）　B 透明感を演出するソフトピンク。まるで自前の血色感へ。ザ ブラッシュ マット 009M ¥3300／アディクション ビューティ　C ほのかに透けるマット質感が今ドキ。シアー マット リップスティック 12 ¥5500（セット価格）／SUQQU

HOW TO MAKE-UP
【EYE】 Aのaをブラシに取り、アイホール全体にふんわりと広げる。さらにAのbの濃いめピンクを上まぶたのキワに。Aのaとcを混ぜ取り、下まぶた全体へ。目元をもっと締めたい場合は、アイライナーをプラスして。目のキワに細くラインを引き、目尻はスッと引き抜く。黒ではなくブラウン系が重たくならず◎。目元が甘くなるのをセーブする効果も。
【CHEEK】 大きめブラシにBを取り、頬全体にふんわりと重ねる。目元と口元の“つなぎ”的な役割に。
【LIP】 Cを唇全体に直塗り。あえてピンクではなく、ブラウン系リップを選ぶのが鮮度を上げるコツ。

「少しの血色感とツヤめき。こんなナチュラルメイクは私のスタイルのひとつ」。Bの左上をまぶたに広く、右上と右下を混ぜて際にライン風にぼかし込む。マスカラは上まつ毛だけにCを1度塗り。頬にはブラシにとったDをフェイスパウダー感覚で溶け込ませつつしっかりのせ。リップはAを直塗り。

A カジュアルな中に甘さが潜む。ラプソリュ ルージュ IM 226 ￥4400／ランコム　B 優しく穏やかなブラウン。サンク クルール クチュール 429 ￥8360／パルファン・クリスチャン・ディオール（7/2発売）　C 隙なしの上向きまつ毛が叶う。マスカラ ヴォリューム エフォシル カーラー SP ￥4840／イヴ・サンローラン・ボーテ　D ヘルシーなバラ色の血色に。プリズム･リーブル･ブラッシュ 4 ￥6600／パルファム ジバンシイ

「こういう色使いのメイクが大好き。私の肌になじむから」。上下まぶたの際にライン風にGをのせ、下まぶたの際にFを。Bでインラインを入れ、Aを上下まつ毛に。Dは頬に広く横長に。唇にはEを直塗り。ネイルはCを。

A 自在に操れる2in1ブラシ。オート & ノーティ ラッシュ オート & ノーティ ブラウン ￥3630／M・A・C　B 濃厚なチョコ色。ハイピグメント ロングウェアアイライナー 8193 ￥3300／NARS JAPAN　C ポジティブなオレンジ。ヴェルニ ロング トゥニュ 745 ￥3520／シャネル　D 溶け込むようになじんで彩る。ブラッシュクチュール 4 ￥6600／イヴ・サンローラン・ボーテ　E ジェリーベースのなめらかリップ。クラッシュド シャイン ジェリー スティック 02 ￥4180／ボビイ ブラウン（限定品）　F 澄んだきらめき。モノ クルール クチュール 006、G 洒落感満載のコッパー。同 570 各￥4180／パルファン・クリスチャン・ディオール（7/2発売）

「自分が生き生きしているな〜と感じるのは、家族やペットと過ごしている時かな。自然も大好きなので、愛犬を連れて公園でレジャーシートを敷いてのんびり過ごしたり、家族とキャンプに出かけたりするとすごく満たされます。仕事はとても楽しいけれど身を削るような瞬間もあるので、忙しい時ほどプライベートの時間もしっかりと充実させてできるだけバランスをとるように心がけていますね。メイクでいうと、私の中ではアイブロウがキーアイテム。もともと自眉がたっぷりあるので描かないことも多いけれど輪郭をとるだけで印象がガラッと変わる。描き方ひとつで強くも優しくもなれるところが面白いなって。個人的に最近は可愛らしい顔よりも意志が強そうな顔に憧れます。芯のしっかりした、媚びのない女性に見えたら嬉しいですね。」

凜とした美しさが際立つ川口春奈さん。どの瞬間を切り取っても絵になることから、驚異的な速さで本企画の撮影が終了。スタッフ一同を感嘆させた彼女は、自身の“顔”について「もともとパーツ自体が強めな方。十代の頃は大人っぽく見せたくてしっかりメイクをしていたけれど、年齢と共に徐々に引き算してシンプルに。ホクロやそばかすも隠しすぎない方が色っぽく見えるよね、っていう考え方になってきました」と語る。そのきっかけとなったのが、今回の撮影でもヘア＆メイクを担当している河北裕介さんとの出会い。「昔からコンプレックスだった奥二重の目と広いおでこを、“めっちゃいいじゃん”って言ってくれて。完璧じゃない部分がむしろその人だけの魅力や抜け感に繋がるってことを教わったんです。自分を受け入れて、個性として主張する大切さを学べたのはすごく大きかったですね」

自分の見え方に固執せず、アドバイスは柔軟に受け入れる。聞けば、髪型を変える際なども周りのスタッフにアンケートをとるのだそう。
「人から見られる仕事をしている以上、外見に関する第三者の意見はすごく大切。それ以外の部分でも、自分だけで考えると判断が偏って可能性を狭めちゃう気がするんです。もちろん絶対に譲れない部分はあるけれど、同じ所に留まらずに世界を広げるには、人を信頼して飛び込むことも重要なのかなって思います」

「顔って、その人の生き方が出ますよね。悪いことをしてきたら、しっかり悪い顔になる（笑）。だから自分をきちんと律する必要があるし、浮き沈みの激しい仕事だからこそ、自分で自分の機嫌を取りながらいい顔にしていかないといけないなって」

ファッションや美容も機嫌を取る方法のひとつ、と川口さん。好きな色を纏う時や髪を巻いた時の浮き立つ気持ちが、生きる上でのテンションを高めてくれるという。そうやってコツコツと形作ってきた今の顔をどう感じているのか尋ねてみた。

「前よりも関心を持つようになったかな。昔の私は自分の写真チェックもほぼしないくらい、顔に興味がなかったんです。今は“こんな見え方もするんだ”っていう発見もあるし、自分の顔を少しは褒めてあげられるように。不思議なもので、自信が持てると表情が変わるし、人付き合いも自然に変わってくる。そこからの広がりで価値観や生き方も変化していくので、顔と人生って本当に深く繋がってるんだなって感じます」

自身を俯瞰する眼差しはどこか達観しており、多少のことでは動じない落ち着きが漂う。昨年末の紅白歌合戦でも堂々とした初司会ぶりが話題を呼んだが、大舞台でも顔色ひとつ変えない強靭なマインドはどのように培われてきたのだろうか？

「昔から好奇心が強くてマイペース。どの仕事に対してもフラットで“とりあえずやってみよう”っていう精神で取り組んでいるから、特別に気負うことってあまりないんです。ただ、仕事を通してたくさんの貴重な経験をさせてもらえていることは本当にありがたいなって感じます。そうやって一つずつ経験値を上げて自信をつけることがいい顔に繋がっていくと思うので、今後も人との出会いを大切にしながら自分らしく楽しんでいきたいですね」

「年齢を重ねても、老いに抗うことはしたくないんです。そう感じるのは、素敵な年配の方が周りにたくさんいるから。近所にある定食屋のおかみさんもその中の一人。60代後半くらいなのかな。髪は白くなっていて目元も笑うとシワシワだけど、それがすごくあったかくって。きっと酸いも甘いも経験されて、充実したいい人生を送ってこられたんだろうな〜って伝わってくるんですよね。美味しいごはんが食べたいのもあるけれど、愛嬌たっぷりでいくつになってもチャーミングなおかみさんに会いたくって、しょっちゅう通っています（笑）。」